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夜明け、さらなる踏ん張り
 公園で暮らすホームレスのおぢさんじゃないが、人間どんな場所でもどんな状況でも必要とあらば眠れるものだと実感した。
連日の疲労もピークに達し、深夜勤務の石川選手に安心してか、メカニックの皆さんや手の空いているスタッフが窮屈そうにスチール椅子で丸くなって仮眠する。そうした中で妙に動き回る人影。あれ、林マネージャー、寝ないで大丈夫?と問いかけると、眠くならないんです、ちっとも、などと言う。どこにピークがあったのかも判らないほど働き続けて逆に覚醒してしまったか。
 さすがに北海道は日本で一番夜明けが早い。時計の針が四時半にもなると、辺りは白んできた。夜中に何度となく濃淡取り混ぜてドライバーを苦しめた霧も、明け方を頂点に薄れていく。四時半過ぎに田中選手から畠中選手にドライバー交替、車はトラブルもなく走り続けてくれている。そして六時半には再び谷選手登場だ。

 あと8時間余、ここからが本当にしんどい部分なのだろう。どうすりゃ、みんなのように38秒台とか36秒台で走れるのだろうと、何となく考えながら走っていた。
今回のノルマは38周、約1時間、みんなの半分の距離である。その半分を走った頃、ピットから、メッセージが出された(無線のジャックがヘルメットの部分で外れて通じなかった)。紙に大きく「LED ON」と書いてある。「レッドオン?何じゃそりゃ。赤ならRedだろう。スペル間違とるぞ〜。で、赤を入れろ?何だ〜?」。もう一周走ってきて、その文字をしっかりと見ることにした。やっぱり「LED ON」だ。それ以外には書いてない。頭の中が混乱する。自分の知らないペナルティの一種なのだろうか。それにしても聞いた事が無い。コントロールタワーを見るが、ペナルティを出している様子はない。が、ひょっとしてペナルティならば、提示されてから3周の間にペナルティを実行しないと「失格」になってしまう。24時間レースを3分の2走って、何だか分からないまま失格になるなど馬鹿げたことはない。ドライブスルーか、ペナルティエリアストップか、何らかの合図を出されるかもしれないと心に準備してピットに入る。
 するとガレージの中に入れと合図される。車に何か故障があったというのか?不可解を抱えてガレージに車を入れ車を降りずに聞いた。「レッドオンってなに?ペナルティだったら大変だと思いピットインしちゃったんだけど」。それの答えを待たずにとりあえず降りろということで、車を降り、結局ドライバー交代となった。
24時間耐久は、車の天井にクラス別を表す小さなライトを付けている。私達Nプラスならば赤、クラス4ならば緑。そのインジケーターランプを私達のチームは「LED(発光ダイオード)」で作っていた。そして、そのランプが消えているので着けなさい(ON)という意味だったのだ。ピットロードにいるマーシャルから指摘されたので、サインボードを出したのだそうだ。解からない。これは、いくらなんでも解からない。解かっても私はそのインジケーターランプがライトに連結しているのか、別のスイッチがあるのかも知らない。結局、LED ONは、私のわずかな1時間の走行時間を30分にしてしまった。

 突然のピットインに面食らったのはピットスタッフも同じだったけれど、谷選手の混乱がいかばかりのものだったかコラムで語ってくれた。全員で、あちゃ〜状態。

 朝六時半に乗り込んだ私は、不本意ながらも30分後の午前七時には降りてしまった。次のドライバーは石川選手。このレース3本目のドライブだ。元気よくコースに飛び出していく。午前9時までが予定走行時間。この頃の順位は37台中31位。一時間半のロスがなければもっと上だったろうが結果は結果。私たちの車の後ろにいる6台の車は、やはり何らかのトラブルで私たちと同様、あるいはもっと時間をロスした車たちである。
 石川選手は、担当終了である午前9時には予定通りピットに帰ってきた。これで石川選手は6時間ドライブしたことになる。レースの4分の3が終わった。


走り抜けろ!17番インテグラ
 8日の午後三時、参加チームが目指していたのは、その時間にメインスタンド前のストレートを走り抜けることだった。車とドライバーと、それを裏方で支えるピットスタッフ。皆が一刻一刻、一時間一時間を「無事に!」と念じていたに違いない。
 石川選手、田中選手、畠中選手と順繰りにたすきを渡し、いよいよ最終ラップへのドライバーチェンジとなった。8日の午前中、最終ドライバーは誰?という話題が其処此処で持ち出された。もしかすると、田中総監督は初めから決めていたのだろう。「谷社長、行って下さい」と『命令』している。まさに良いとこ取り!スタート&フィニッシュ!念願叶って十勝で走って、且つビッグプレゼント付きとは冥利に尽きるというものだ。
 午後二時半、最後のドライバー谷好通選手がインテグラのシートに身を落とした。いよいよである。同じ時間経過のはずが、焦りと苛立ちで妙に長く感じた時もあった。逆にここまでくると遡っての24時間があっという間にも思える。皆、そわそわしている。メインスタンドもにわかに人影が増え、嫌でも盛り上がる。ピットガレージの屋上は、チェッカーの瞬間を間近に目撃しようとする観客で二重にも三重にもなっている。
 来た、まず24時間で947周を走りきったファルケンポルシェと20周及ばなかったエンドレスポルシェがストレートに姿を現した。次々に戦闘を潜り抜けた車たちが喜びの雄叫びにも聞こえるエンジン音をかき鳴らしやってくる。

 「壊すまい。絶対に壊すまい」それだけを考えて走った。コーナーも決して無理しない。シフトチェンジも息を呑んでやるような感じで、丁寧に丁寧に。エンジンは7千回転までしか回さない。ストレートエンドでも5速で7千回転まで、コントロールタワーの先の方からハーフスロットルという有様である。タイムも44秒とか47秒とか話にならないタイムだが、それでも構わず、あくまでも壊さない、壊さないで走った。
 何周走ったか、全く憶えていない。ようやくチェッカーが出た時には、ホッとしてヤッターッという感動より、ただ無事にチェッカーが受けられて良かったという気持ちが一番大きかった。それでも、みんながピットウォールに集まっているのは分かっていたから、いつも畠中がやるようにヘッドライトを点けて、ピットウォールギリギリに走り抜けるという芸当をやろうと思ったら、内側からランサーエボが割り込んで来てピットウォール側につけず何となくストレートを走り去っただけになってしまった。
 ゴール後のウィニングランを一周、ピット前に戻った時、ピットのみんなと車の中から、やったーと手を合わせていく。この時はさすがに、チョッとジ〜ンとした。

 スーパー耐久は昨今、上級クラスでドライビングする有名ドライバーが多く参加している。今回も、近藤真彦率いるエンドレスポルシェや、F3000、F2、GT選手権などで名を馳せるドライバーが軒並みステアリングを握った。大手のスポンサーに支えられ、華やかに疾走するチームの中で、ほとんどプライベーターとして参戦したチームキーパー with RUNUPだが、見事初参加完走を手にすることができた。適えられた願いの裏には、本当に多くの皆さんのご協力があり、そうした皆さんが我を忘れてお手伝いしてくださったからこそ、こうした嬉しい報告ができたのである。
 KeePreのロゴが、24時間(しばし休憩時間もありましたっけ)周回するたび、観衆の前に登場した十勝ナショナルスピードウェイの暑い夏は終わった。

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