年末洗車対策を考える

店内がパニックになる前に

予約制は決して特別な方法ではない。来店の集中を防ぐため、美容院などでは当然のように行われている手法である。

洗車サービスでは12月、とくに年末が近づけば近づくほど、お客さまの来店が集中から殺到に変わる。年末は、室内清掃やキーパーコーティングなどの比率が高まると、忙しさはピークに達し、店舗はまるで戦場となる。その混乱を少しでも緩和できるのが予約制であり、お客様、店舗スタッフともにメリットが大きい。少しでも早めに対策を考えたいなら今すぐ検討することをお勧めする。

そこで洗車ビジネスにおける予約制の基本を紹介しよう。

シフト制との連動

予約制は基本的にスタッフのシフト制と連動する。

洗車の1台あたりの洗車作業時間を1時間とし、洗車に当たるスタッフが5人だとした場合を例として考えてみる。

1.5人のうち1人は受注、作業確認、会計を担当する。もちろん、手が空けば他の業務をサポートする。
2.残りの4人が洗車スタッフとなるため、1時間で4台の洗車ができることになる。
3.作業開始時間を毎時、0分、15分、30分、45分としてシフトを組む。
4.その開始時間を1つおきに予約用と飛び込みように設定する。例えば、0分と30分を予約用、15分と45分を飛び込み用とする。つまり、1時間に2件予約できることになる。
5.予約の枠は決して増やさず、枠数を超えて予約の申し込みがあった場合は、他の時間へ変更していただく。
6.逆に予約が入らなかった場合は、常に飛び込み用に変更する。
7.もちろん1台ごとの作業時間も、フルコースなど長時間かかる注文の場合は、設定時間を長くし他のシフトと入れ替えたりすることも必要となる。

枠設定の通りになることはまずないので、臨機応変に変更することになる。そのためには、必ずコントローラーと呼ばれる役割を1人のスタッフに設定し、時間管理を行える体制をとらなければならない。

お客さまのメリット

予約制によるお客さまのメリットは、お客さま自身が待たなくてよいことだ。お客様には来店前後のスケジュールも立てやすいという点で好評で、一度予約されたお客様は次からも予約する場合が多い。

では逆に、予約制を導入したことにより、混雑時にせっかく来店されたお客様を逃してしまうことにならないだろうか。しかし、この疑問についてはまったく心配無用だ。お客さまが来店されたとき、予約が一杯ですぐに洗車が施工ができない場合、「○時からならできます」と伝えれば、「じゃあ、その時間に来るね」といって、再度来店していただける。これは、お客さまにとっても、予定が立ちやすいのだ。

お客を逃すまいとキャパシティを超えて受注したことにより、長時間待たせてしまうケースや、施工が過密になることでいい加減な施工になってしまうケースなど返ってマイナスイメージにつながることも多い。

店舗のメリット

予約制が確立され、予約率が高まると、前日にある程度の状況が予測できる。つまり、シフトが組みやすく、作業に対して最適なスタッフ数を調節することができる。

しかも予約ボードはスタッフ全員が常に状況を意識しながら仕事に取り組めるのだ。

ところで、来店の集中によるデメリットは店内に限らない。来店の集中で順番待ちの車両が公道に並び、付近の住民や通行車両に迷惑を掛けることになる。近隣からの反感を買うことはもちろん、警察に通報されれば、業務麻痺は避けられない。予約制を導入すれば、こういった問題になる可能性は低いのだ。

告知

予約制は事前にお客さまが予約しないことには成り立たない。つまり、お客さまに予約制の存在をあらかじめ知ってもらわなければならない。

そのためには、初めてのお客様には予約カードを渡したり、会員制であれば会員証に表示するなど常にその存在を知らしめ予約率を高める努力は必要である。

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